67年前の「赤ちゃん」取り違え、東京都に調査命じる判決 原告「真の両親の顔が見たい」「1日も早くお願いしたい」 東京地裁(弁護士ドットコムニュース)
当事者にとってみれば、青天の霹靂だ。
ほかの兄弟と似ていない…と感じることがあっても、
まさか、出生した病院で自分が、他の赤子が取り違えられたとは…。
気付いた時点で、どれだけ幸せな親子関係であったとしても、
血のつながりのある、親を知りたいと思うのは人情である。
自分のルーツを知ることは、その人の根幹にかかわることであり、当然の権利だ。
長年に亘りそれを放置し、裁判にならなければ、
重い腰をあげないとする都の対応には承服しかねる。
確かに、先方のプライバシーもあるだろが、
子供を取り違えたのは、病院の責任であり、
その病院を運営していた都の
出生後、その先当然、有したであろう
真の家族との時間を奪う権利は誰にもない。
損害賠償を支払ったから、それでオシマイにはならない。
昔の産院は、管理が杜撰だった。
よって、「赤ちゃん」取り違えといった話題を耳にしたことがあり、
ドラマでも、題材として取りあげられることがあった。
だから今、赤ちゃんの腕には、
母親の名前が書かれたバンドがはめられ、
退院まで外さないようになって久しい。
それにしても、そうした事件を他人ごととして接していた人が、
実はDNA鑑定で、自身が当事者だと知ったショックは、いかばかりだろうか。
知らないほうが幸せの場合もあるかもしれないが、
知るか知らないか、それは当事者の意思である。
当事者が真実を知りたいと願うのであれば、
重大な過失を犯した産院、またはその運営母体において、
可能な限りの調査に協力するのは、
人道的見地からしても当然の義務である。
調査開始まで、20年という期間を費やしてしまった
当事者らの方々に、一刻も早い調査結果が出ることを期待したい。
子の年齢が67歳だとすれば、その親世代は90歳前後だ。
これは、喫緊の課題である。