Posted on 2014年12月27日
by 河野順一
11月の非正規雇用、初の2000万人超 完全失業率は3.5%横ばい(SankeiBiz)
日本の人口は約1億2700万人。
そのうち生産年齢人口(15歳から64歳)は約7900万人。
今回発表された労働力調査(平成26年11月分速報)では、非正規雇用者が2000万人を超えた(約2012万人)ことから、働くことが一般的に可能とされる人々の4分の1強が非正規雇用者であるということになる。
さらに、労働力調査の数字を追ってみると、就業者数は約6371万人、うち雇用者数は約5637万人である。
雇用者の3分の1強は非正規雇用者であるという事実。
しかも非正規雇用者は前年同月より48万人の増加である。
一方で、正規雇用者は前年同月より29万人減少して3281万人である。
この数字を持って「アベノミクスは効果が出ていない」などと断じるのは早計に過ぎよう。
長く続いたデフレ不況から、簡単に脱却できるはずもない。
ただ、正規雇用者と非正規雇用者の数を目の当たりにして、
「このままで良いわけがない」
という印象を抱かれる方々がほとんどあろう。
非正規雇用には、使用者にとっての「雇用の安全弁」、労働者にとっての「多様な働きの選択肢」といったメリットが存在する。
その意味で、非正規雇用という形態そのものが悪であるわけではない。
しかしながら、功利主義的発想のみで企業が労働者を扱えばどうなるだろうか。
故松下幸之助氏の唱えた「7精神」を紹介しよう。
一、産業報国の精神
一、公明正大の精神
一、和親一致の精神
一、力闘向上の精神
一、礼節謙譲の精神
一、順応同化の精神
一、感謝報恩の精神
これは松下電器産業からPanasonicに名を変えた今でも受け継がれているそうである。
この「7精神」は素晴らしく、異を唱える者はいないだろう。
しかし、この精神を企業理念とするとき、全従業員の心にまで本当に響くものとなるか否か。
ここに心を砕かなければならない。
非正規雇用者がこの「7精神」を前にしても、
「この先、自分はこの会社にいられるのだろうか」
という不安を抱えたままでは、愛社精神が生まれたり「産業報国」といった言葉を受け入れる気持ちになったりするはずもない。
企業は熾烈な国際競争の只中にあり、日本を代表する大企業であるPanasonicですら、松下幸之助氏の家族的経営スタイルを維持できず、リストラを進めざるを得なかったのは事実である。
この厳しい状況を精神論だけで切り抜けろ、などというつもりはない。
だが、「経済はマインド」である。
生産者・消費者、そして政府…経済に携わる人々の心の持ちようが、景気に大きな影響を与えるのも事実である。
政府も「キャリアアップ助成金」などで、有期雇用から無期雇用への転換を促すなど、マインドを刺激する施策の数々を打ち始めている。
労働者も、己が愛社精神を発揮し、人生の目標として打ち込める職場を求めているはずである。
広島カープに復帰することとなった黒田博樹投手は、21億円を超える年俸のオファーを蹴って、4億円で広島に復帰した。
それはまさに広島カープという球団への「愛」がなせる業であろう。
広島カープも、黒田投手がかつて着けていた背番号15を空き番号とし、毎年黒田投手の復帰を待ち続けていた。
これも「愛」である。
「ラブイズアクション」
徹底した行動から愛が生まれる。
各企業は、今こそ徹底した行動で、非正規採用から正規採用への転換に向けて知恵を絞ってほしい。
その勇気と行動は、きっと従業員の愛社精神という「愛」を生み出して、生産と消費の活発化を引き起こすはずである。
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