来年4月から、「独身税が導入される」と、
ネット上はかまびすしい。
婚姻するもしないも、個人の自由のはず。
婚姻を理由として、税を課すのは、違憲ではないか?
独身税の実態は、2026年から始まる
「子ども・子育て支援金」を指しているようだ。
少子高齢化の国にとって、子育てに大変な時期に、
国からの支援が手厚くされれば、
子供を持つ家庭が増えるかもしれない。
そうした期待を込めて行われる制度であることは理解できる。
しかし、それには財源が必要だ。
どこから持ってくるのか。
新たに、使い道を定め、広く国民から徴収する。
健康保険料に上乗せして徴収する。
したがって、独身であるか既婚であるか、
はたまた子供を扶養しているかしていないか
問題にはならないようだ。
制度上、収入の多寡に応じて応分の負担を求める。
集めた財源を、子育て中の人に給付する。
これでは「独身税」でも何でもないではないか。
ネットの一人歩きだ。
それにしても、国は国民から都合良く徴収する方法を考えるものだ。
消費税導入時の平成元年には、広く国民の同意を得るために、
この「消費税「」のことを、福祉に還元する「福祉税」だと説明した。
たしか、3%から始まって、今は食料品を除き10%。
今後、物価高のほとぼりが冷めたら、まだ引き上げられることだろう。
訝しく思うことは、本当に、福祉に回っている財源なのか?
そして、平成12年には、「介護保険料」の徴収が始まった。
介護は、老後、誰にでも必要になる制度だから、
応分の負担が必要と、40歳以上の人は、保険料に加え応分の負担をしている。
くわえて、平成20年からは「後期高齢者医療制度」が始まった。
これも、膨らみ続ける医療費の財源確保のため、
経済力があるシニアに対し、応分の負担をさせるというもの。
その昔、40年以上前は、老人医療費は保険料は子供の扶養で無し。
窓口での一部負担金も取っていなかったように記憶している。
だから病院の待合室は、高齢者の憩いの場、サロンと化していた。
そこで、常連が、
「○○さん最近来ないけど、どうしたのかしら?」
というと、別の常連が、
「病気になったそうよ」
等という笑い話もあった。
また、60歳が支給開始だった、老齢年金の支給も、
年齢による経過的措置が進み、もう少しで65歳支給に移行する。
支出の抑制が順調に完了する。
そして、来年開始の「子ども・子育て支援金」の徴収開始だ。
そうすると、消費税の、すなわち福祉税は、
高齢者や子供には回っていないということになろう。
国民は、可処分所得がどんどん減らされる。
北欧の付加価値税のように、
政府が、老後、学費、失業時等において、
最低限の生活を保障してくれればよいが、
可処分所得を締め付け、
そのうえ、老後は年金額が少ないので貯蓄せよ…
では、国民の生活が経ちいかなくなる。
民主主義国家であっても、あからさまな所得の再配分は、
社会主義国家と何ら変わらない構造を持つ。