Posted on 2024年6月16日
by 河野順一
年金生活者支援給付金
年金は、偶数月の15日に、2か月分がまとめて振り込まれる。
令和6年度価格で、国民年金が、満額で…
調べていくと不可解なことが…
これまで、老齢基礎年金の満額といえば、定まった金額であったが、
それが年齢によって異なっているではないか。
年金制度は極めて複雑である。
年金額は、インフレ時などに年金の経済的価値を維持するため、
毎年見直される。
厚生労働省は2023年度の公的年金の支給額を、
すでに受給している68歳以上の人は前年度から1.9%、
67歳以下で新しく受給を始める人は
前年度から2.2%引き上げると発表した。
そして、今年度もその状態が続いている。
つまり、令和6年度は、
昭和31年4月1日以前生まれの人の老齢基礎年金(満額)は、月額67,808円。
昭和31年4月1日後生まれの人の老齢基礎年金(満額)は、月額68,000円。
これまでは、満額は年額表示だったところ、
月額表示にするところの意味は、単に見せかけの問題だろう。
1月にすれば、たった192円の差。
されど年額にすると、2,304円の差。
わずかな年金で生活を余儀なくされる高齢者にとって
ビジュアル的に、受ける感覚が違ってくる。
…と、そこに加えて、年金生活者支援給付金。
あまり年金の分野を扱わないため、
この制度の成り立ちがなんであるかを認識していなかった。
沿革を調べる。
何ということはない。
先の消費税増税(8%から10%)に伴う、緩和政策が目的だ。
ざっくりいうと、一定の低所得者に対し、
恒久的に所得の補填をする目的のようだ。
要件(世帯の非課税要件・自身の一定の所得額以下)
に当てはまった者が、自ら申請を行い、
要件に当てはまっている限りは、
恒久的に受給することができる給付金である。
金額はといえば、各人の納付済期間等により、若干異なるものの
月額、5,000円程度とされている。
これが、本来の年金受給額に上乗せされる。
年金に頼る低所得者を、
手厚く保護するのはありがたいことだ。
めでたし、めでたし。
本当にそうなのだろうか?
ここに疑問を持たないか?
そもそも、物価の変動は、物価スライドの変動を支給額に加味することで、
いくらでも色を付けることができたはずである。
それでは、収入がある高齢者との差が是正できないのではとの疑問もあるだろう。
しかし、これまでにも、税制や高年齢雇用継続給付、
65歳以上の介護保険料、後期高齢者医療制度、
あらゆる分野で、所得のある高齢者から、
相応の負担を課しているではないか。
そのうえ、まだこのような所得の再配分をするのか…
それだけ、超高齢化社会で、
年金制度そのものが制度化疲弊していることの証だ。
事務手数料を支出してまで、低所得者以外の年金を
減らさなければならないのだろうか。
間違いなく、生涯現役を貫こうとする、元気なシニアの就労意欲を削ぐ。
年金制度は、場当たり的で、とても法律と思えない。
年齢による、支給開始年齢の経過措置がある。
出生の年によって、ベースになる基礎年金額が異なる。
他の年金や、雇用保険など、支給に併給調整がある。
男性と女性の格差を是正すべきも、
現行では、遺族厚生年金の受給資格に差異があるなど…
いずれにしても、国民のコンセンサスを得るために、
万民にとって、
不合理でない制度に近づけなければならない。