不妊治療で退職など経済損失3000億円…企業が「妊活」支援、女性管理職増も図る(読売新聞オンライン)
男女参画型社会が標榜されて久しい。
しかし、未だに機能していないことが残念である。
出生率の低下のニュースが、現実を如実に語る。
個人の幸福と、社会全体の幸福。
幸福は両輪で回るものだ。
個人の充足だけに重きを置くと、
他者への配慮を欠く社会が是認されることとなる。
確かに、
自分が好きなことだけをしていればいいとなると、
この上なく気楽だ。
他者に対する責任を負わないため、
自分の時間と、自分のための経済活動を謳歌できる。
しかし、それだけでよいのかというと、
社会という、共生は成り立たない。
相互扶助の形で、弱者に手を差し伸べられる優しい社会を実現するには、
税による経済的な支えや、ボランティアを含めたマンパワーが不可欠だ。
俯瞰すれば、
個人が生きている、その時代だけの完結というわけにはいかない。
世代交代においても、それぞれの時代において、
人々が安心して過ごせる社会、そしてインフラの整備が不可欠だ。
そう考えると、個人の幸せだけでは済まされないことが、否が応でもわかる。
次世代につなげていくためには、若い世代を増やさなければならない。
若い世代を増やすためには、生殖能力がある世代の下支えをして、
子供を増やしてもらうしかない。
そうした意味で、政治レベルのみならず、
民間が積極的に「妊活」支援に取り組むことは意義がある。
男尊女卑の社会観が長く続いたが、
これまで私の事務所で職員として使った人材の中には、女性従業員の中に、
突出した能力を発揮していた人が数多い。
こういう人たちの就労機会を、子育てで奪ってしまっては社会の損失だ。
また、優れた女性が「妊活」をあきらめて、
キャリアに縛るのも、
優秀な遺伝子を次世代に残せなくなるという点で、これも問題がある。
世の中には、男と女しかいない。
それぞれの性で、分業が行われないよう、
尊重される社会の構築は、今、待ったなしだ。