女装する社員と就業規則

女装で小学校に落書き容疑(日刊スポーツ)

女装自体は何の罪にもならないだろうが、「女装して小学校に落書き」となると、ただの落書きより何やら悪さが増す感じがするから不思議である。

それはさておき、男性労働者が職場に、スカート姿で口紅という女装をして出勤してきた場合、使用者側はいかなる対応を取ることができるのだろうか。
就業規則に「職場にふさわしい清潔な服装、身だしなみを心がけ、顧客に不快感を与えないようにしなければならない」などといった形で、服装に関する規定を盛り込んでいる会社は多いであろう。
この規定を根拠に、女装をやめさせることを検討するわけだが、問題は女装が「職場にふさわしくない」服装といえるかどうかである。性同一性障害者解雇事件(東京地判平14.6.20)では、性同一性障害を有する男性が女装してきたことを理由にした解雇を無効と判断したが、その判断の前段階で、「女性の容姿をして就労しないよう求めること自体は、一応理由があるといえる」としている。性同一性障害を有する男性の女装といった特殊事情がある場合は別にして、通常の男性の女装を禁じることは、対外的な会社の信用度に関わる問題でもある。女性が着用するのが通常である服装や女性のみが通常つける口紅に関して、男性の着用や使用を禁じることは、社会通念上相当な範囲のものであり、合理的な制限といえよう。
ただ、男性労働者が幸福追求権や表現の自由を根拠に持ちだして、女装の自由を主張すると、一気に憲法問題になってしまう。
(ここでは憲法の私人間効力の問題には敢えて踏み込まない)
それでも、使用者の指揮命令下にある労働時間にまで女装の自由をふりかざすのは、権利の濫用として認められないとするのが、妥当な解釈であろう。
では、女装を何度注意してもやめようとしない男性社員を解雇できるかといえば…
その点は私のセミナーを聞いて学んでもらいたい。

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