Archive for 11月 2024

カスハラで氏名公表も 三重県桑名市、全国初の防止条例案

カスハラで氏名公表も 三重県桑名市、全国初の防止条例案(時事通信)

本当にこの対応は評価できるのだろうか。
典型的なカスタマーハラスメントに対する適用に、異存はない。
客の恣意的なわがままを野放しにすることは、
職場の安全配慮義務によろしくない。

しかし、一歩突き詰めて考えてみると、
カスハラか否かは、誰がどのように判断するのだろうか。
カスハラが問われる、長時間の詰問があつたとしても、
サービスの提供側に手違いがあり、
横柄な態度をとったことによるクレーム、
理不尽な差別によるクレームなどとカスハラの判断はどうするのだろうか。

これまでも、窓口においてクレーム係というものが存在した。
行政サービスにおいても、
平等対等な契約においても、信義則に反する対応が認められた場合、
また、権利を侵害された相手が、主張することは当然である。

そうした正当な権利の行使と、
カスハラの氏名公表の線引きを、
誰が、どのような基準のもとに、何処でするのだろうか。
条例は単なる抑止力か、それ他も第三者員会のような組織において、
双方の意見を聞いたうえでの判断との明文を盛り込むのか。
後者の場合、即効性に欠ける。

安易に氏名公表することは、名誉毀損になる。
新たな火種を生む。

カスハラ対策に実効性を持たせようとする趣旨は評価できる。
しかし、運用と技術の問題だ。
ここにも、「保護事由」と「帰責事由」の観点が試される。

制度として定着するためには、
紆余曲折あることだろう。

池袋暴走事故 飯塚幸三受刑者が老衰のため死亡

池袋暴走事故 飯塚幸三受刑者が老衰のため死亡(NHK)

93歳の受刑者が逝った。
5年前、キャリア官僚だった人間が、
88歳のドライバーという立場で起こした交通事故が
多くの人の運命を変えた。

あの日あの時、もし、運転していなかったら。
あの日他の時、もし、現場に居合わせなかったら。
人の運命とは、実にわからないものである。

高齢ドライバーだからいけないということではない。
長年ドライバーをしてきた慢心と、注意力の欠如がいけない。

キャリア官僚の功績も、最期、刑務所での老衰は悲しい。
ハンドルを握る者は、
いつ、何時、自身が加害者になるやもしれない危険を正しく畏れつつ、
車を利用しなければならない。

被害者、加害者双方にとって、
払拭のできないジレンマを覚える。
後悔先に立たず。
社会への教訓として、
いつまでも語り継がなければならない事故である。

斎藤元彦氏陣営の疑惑の〝キラキラ社長〟に思わぬオファー「僕の選挙も手伝って」

斎藤元彦氏陣営の疑惑の〝キラキラ社長〟に思わぬオファー「僕の選挙も手伝って」(東スポWEB)

失職からの劇的な再選を経て、
この一週間、
斎藤元彦氏はメディアで名前を見ないほどの注目ぶりだった。

いずれにしてもSNSの選挙戦における効果が物議を醸していたものだが、
渦中の人はこのタイミングで、戦略を誤ったようだ。

確かに、自分の存在をアピールしなければ世間に認知されないが、
そうだとしても、TPOがある。
守秘義務をはじめとして、大人には言っていいことと悪いことがある。

仮に、公職選挙法違反の内部通報だとしたら、
それなりに意味があるのかもしれないが、
これが自己顕示欲の表れだったとしたらあまりに稚拙でお粗末だ。

口は禍の元。
巧言令色少なし仁。

県知事との、にこやかなツーショットが痛い。

富士山2240回登頂、81歳ベテラン登山家が死の恐怖を感じた日「あんな怖い思いはしたことなかった」

富士山2240回登頂、81歳ベテラン登山家が死の恐怖を感じた日「あんな怖い思いはしたことなかった」(ENCOUNT)

年齢を理由にして諦めることはない。
体力と気力さえあれば、何でもできる…。
81歳の男性は、それを実証してくれているように思う。

好奇心と負けん気。
人生に巾を持たせる重要なアイテムだ。
なぜそれをする。
なぜ何度もする。

自分を納得させたいからだ。
人の評価など関係ない。
自分がしたいから。
自分の人生だから。

気が付けば、記録が鎮座する。
しかし、それは副産物でしかない。
いくつになっても、目標は前にある。

青年シニアは、どこまで夢を実現してくれるのか。
同年代の励みになること間違いなし。

「家の前おるけど、どこおんねん」と県庁に電話が…百条委員会・奥谷委員長が明かした知事選後の「身の危険」

「家の前おるけど、どこおんねん」と県庁に電話が…百条委員会・奥谷委員長が明かした知事選後の「身の危険」(女性自身)

今回の兵庫知事選挙は後味が悪い。
何が善で、何が悪か。
誰が加害者で、誰が被害者か。

それぞれの場面を切り取れば、それぞれの言い分が正しい。
しかし、全体の流れで「保護事由」「帰責事由」を考えなければならない。
真実はカオスだ。

個々の事案は法廷闘争に持ち込まれることになるだろうが、
いずれにしても県政はまわしていかなければならない。
「知事と議会」、「知事と職員」の関係がこれだけぎくしゃくしていると、
そのしわ寄せは県民に向かうのではないかと、誰もが危惧がする。

民意が知事を再選させたということなら、
議会も職員も、それに添わなければならないと考えるが、
どうやら根深いものがあるようだ。

ここで県知事も強力なリーダーシップが取れなければ、
再び不信任案可決のあの頃に逆戻りする。
判官びいきだけでは、県政は動いていかない。

良い意味でも悪い意味でも、
示唆に富むケースであり、
今後の選挙の在り方、言論の自由といった深層に敷衍するため
その幕引きの行方に目が離せない。

挑戦の数だけ人は進歩する ALS患者のDJ武藤さん、中高生に語る

挑戦の数だけ人は進歩する ALS患者のDJ武藤さん、中高生に語る(朝日新聞社)

人は誰しも年を重ね、確実に終着駅に向かう。
その道すがら、それぞれの人生の軌跡を体験し、生きた証を残す。
武藤氏の活躍は、かねてからメディアで知っていた。
若く、一番希望に満ち溢れた時期に、病気になられた。

美しい奥様と二人三脚で、一児の父でもある。
予期せぬ病気という与えられた運命の中で、
精一杯挑戦されている姿が神々しい。

「生きるとは何か」を、その生きざまの中で伝道している。
「挑戦の数だけ人は進化する」…含蓄がある。

今、安易に闇バイトに手を染める若者が多い中、
武藤氏の心からの語りを聞けた若者は、
真摯に自身の将来を考えてくれたことだろう。

人は低きに流れやすい。
しかし、あえて困難な道を選択することで、進化を続ける。

生きる証。
これは人に与えられるものではない。
自らが、その意志で切り開いていくものだと確信してやまない。

兵庫県知事選・斎藤氏の “生誕祭” に500人以上集まって熱狂も…市長からは前代未聞の嫌われぶり

兵庫県知事選・斎藤氏の “生誕祭” に500人以上集まって熱狂も…市長からは前代未聞の嫌われぶり(FLASH編集部)

こんなに熱狂的な選挙戦は初めて見た。
あと30分ほどで投票が締め切られる。
この写真の有権者の熱量を見る限り、負ける気がしない。

失職して県庁を去るとき、斎藤氏はたった一人で、自分で荷物を持っていた。
当初の街頭演説も、たった一人。聴く人もまばら。
それが、投票日間近には、この人だかりだ。

何がどう変わったのか。

有権者が真実を知ろうと、
立花氏の応援演説に耳を傾けたからなのだろうか。
是は是、非は非。

県民のために働く人を、
利権を優先する人が組織で潰しにかかったとしたら
助けなければならない。
真贋を見極めて、県民のために働く人を応援しなければならない。

立花氏は、斎藤氏の冤罪を訴え、
擁護するために対抗馬として県知事選に名乗りを上げた。
異例中の異例な戦術だ。
テンポよく、話術に長けた氏の演説は耳障りがよく、
訴えたいことがよくわかる。

どうも、テレビや新聞で報道されていたことに誤りがあるようだ。
有権者は、正しい情報を仕入れなければならない。
そのうえで、投票に行かなければならない。

立花氏は、真実を報道しないマスコミを「マスごみ」と揶揄していた。

亡くなった件局長の件は残念だが、
今回の告発は、目的と手段が悪い。
例え死を賭しても、不正事実の隠蔽を、
また、癒着の構造を白日の下に晒すヒーローを潰すことは正義にかなわない。

県民は、立花氏の演説に、真意を気づかされたと思う。
演説しながら、立花氏は泣いていた。
ユーチューブで、それを聞く者の瞼も熱くなる。
眼の前で、リアルタイムで聞く人の心には、楔のように刺さるだろう。

だから、斉藤氏の演説には、先が見えないほどの人が集まり、
ウィークデーにもかかわらず、昼も夜も共感したいと考えるのである。

人は感動の動物だ。感じて動く動物だ。
だから、理論で動く「理動」という言葉はない。

斎藤氏を揶揄するプラカードには
「なぜ君は20メートル歩けないのか」と書かれている。
「支持者が多すぎて、身動きできず、20メートルを歩けない」
と答えてあげたらいい。

とにかく、兵庫県民は真実を理解している。
各自治体で同様な事案があるはずだ。
今回の選挙で先陣を切って、組織改革に勤しんでほしい。

結果が楽しみである。大勢が判明するのは、あともうすぐた。

史上初“4つの台風”発生しフィリピンに甚大被害も 日本にも影響の可能性が

【台風情報】史上初“4つの台風”発生しフィリピンに甚大被害も 日本にも影響の可能性が(FNNプライムオンライン)

温暖化の影響は顕著だ。
4つの台風、しかも11月。
台風の通り道にあたった地域は、目も当てられない。
人の移動ができない。
経済が立ちいかない。
インフラに被害が出れば、復旧に甚大な費用が掛かる。
何より大切な人命が脅かされる。

人類が行ってきた経済活動が少なからず影響して、
異常気象として、ブーメランのように跳ね返ってくる。
いや、今後はこれが普通になるのかもしれない。

アメリカでは自国の利益を優先させ、
温暖化対策を蔑ろにする大統領が返り咲いた。
アメリカでも、ハリケーンや山火事など、
異常気象がニュースとして報道されているが、
これからの4年、
トップはどのようなかじ取りをしていくのだろうか。
その影響がアメリカ国内だけにとどまらず、
全世界に及ぶことを、彼は認識しているのだろうか。
五里霧中である。

兵庫県知事選挙と就業規則

今週日曜日、17日は、
自身のパワハラを告発した職員を探索し、パソコンを押収し、
自死にまで追い込んだとして、
県議会全会一致で知事不信任決議を受け
失職した知事選の投開票が行われる。
マスコミの報道によれば、前知事の人間性が糾弾され、
自殺者の立場に立った報道がされ、今もその流れで報道は続いている。
今、この事件は「内部通報制度を悪用したハラスメント」事件に
発展の様相を呈している。

ご存じない方は、前知事の対立候補として出馬した、
立花孝志氏の政見放送をご覧いただきたい。(涙なしでは語れない。)

これは何も公務員職に限らず、会社の社長や役職者といった使用者と
労働者の関係でも十分にあり得る構図である。
個別具体的な客観的なエビデンスを確認しないと、
兵庫県知事のような冤罪事件が発生する可能性が否定できない。

当事者に対する観点としては、
●パワハラとは何か?
●内部通報とは何か?
●社用のパソコンの閲覧調査権限と、労働者のプライバシ―の保護のバランス
●普通退職届受理後の懲戒処分の正当性

組織に対する観点としては
●就業規則の規定の妥当性
●懲戒処分の手続きの妥当性
               …
といった視野から、総合的に俯瞰すべく、
実に、示唆に富む労務トラブルと言える。
労働者は不幸にもお亡くなりになっているが、
場合によっては、刑事事件にも発展するような内容だ。

こうしたトラブルも、就業規則の定め方次第では、予防が可能である。
会社の実情に応じて、予防法学に徹した就業規則を作成する。
これが、厚生省の「モデル就業規則」では網羅できない、
社会保険労務士が作る「就業規則極意」と言える。

私達社会保険労務士は、業務を通じて、
社会貢献しなければんならないといえる。

「米国の黄金時代到来」 トランプ氏の早々「勝利宣言」に会場歓喜(毎日新聞)

「米国の黄金時代到来」 トランプ氏の早々「勝利宣言」に会場歓喜(毎日新聞)

本当にこの人でいいのか。
本当にこの人しかいないのか。

国民性の違いもあるが、毒舌は耳障りが悪い。
オーラや勢いかあるが、国際社会の協調を考えたとき疑問が残る。
ウクライナはどうなるのか。
ガザはどうなるのか。
これだけ気候変動が顕著な今、約束を反故にする温暖化対策も心配だ。

アメリカだけが潤ったとしても、
歴史はそれを許さない。

他国の選挙だが、世界がこれだけ注目するのは、
アメリカが未だ国際社会のかじ取りに大きな影響を与えるからだ。

それにしても、トランプ氏は絵になる。
銃弾にも屈しない不死身の男。
現役時代、嘆きの壁を、黒の帽子姿で訪れ礼拝したにもかかわらず、
アメリカ政府の、ガザの対応を不満に思うアラブ人票を味方につけた。
運がいいとしか言いようがない。
大統領に返り咲いた暁に、本当にアラブ人が望む対応をするのだろうか?
すこぶる疑問だ。

移民問題もどうする。
確かにメキシコとの物理的な壁を作ることに、
一時的な雇用の創出は否定しない。

分断と融和。
それは、永遠の課題である。

紅葉×絶景 観光客殺到の日光 バス「5分が60分」大混雑の3連休 迷惑駐車も

紅葉×絶景 観光客殺到の日光 バス「5分が60分」大混雑の3連休 迷惑駐車も(テレビ朝日系(ANN))

過ごしやすい季節になった。
連休、観光地が大賑わいだった。
時間と金があれば、どこかに出かけたいのは、誰しも同じ。
しかし、自然に触れたくて遠出しても、
人と、渋滞に巻き込まれたのでは、何をしに行ったのかわからない。
人を見に行くのならば、ウィークデーの都会で十分だ。

加えて、新幹線の脆弱さ。
2日の大雨で、山陽新幹線が止まった。
それを受けて、東海道新幹線も止まった。
連休初日、観光地へ出かけたい人で、
主要な駅はごった返した。

せっかくのリフレッシュのはずが、こちらもうんざり。
列車が運行停止、切符の変更や払い戻しで、
東京駅は、どこもかしこも長蛇の列だったようだ。

誰もが考えることをしていると、スムーズに事が運ばない。
考えてみよう。
「切符の変更や払い戻し」は、
東京駅でなければできないというものではない。
近隣の空いている駅で行えばいい。
少しぐらい運賃がかかったとしても、
時間が節約できる分、ストレスフリーだ。
要は、軸を何処へ置くかの問題だ。

いつもうまくいくとは限らないが、
情況を的確に判断し、
代替案を出して最善策をチョイスする能力は、
日常生活の中から培われるのかもしれない。

いずれにしても、人が動くときに動くのは、
極力控えるに越したことはない。
三連休の教訓である。

2024年11月自転車の「ながらスマホ」が罰則強化!「酒気帯び運転」は新たに罰則対象に!

2024年11月自転車の「ながらスマホ」が罰則強化!「酒気帯び運転」は新たに罰則対象に!

自分だけは大丈夫。
事故にあわない…などと思いあがった結果、
重大な事故を引き起こすことがある。
自動車がダメなことが、同じ「車」の自転車でもダメになった。
当然である。

知り合いの80歳になる女性が、
自転車で、近所の坂道をいつものように下っていたところ、
3歳児が親の手を振りほどいて道に飛び出た。
よけようとした女性は、自身が転倒した。
幸い子供にけがはなかったが、
自身は足を骨折。
粉砕骨折はことのほかひどく、ひざは人工関節になった。

これは本人の責任とまでは言えず、不幸な事故である。
女性は、6箇月の入院を余儀なくされ、
退院した3カ月後、人工関節の脱落が認められ再び手術入院。
そうであるにもかかわらず、周囲から知恵をつけられた幼児の親は、
事故が原因で、子供が自閉症気味になったとして、損害賠償を提訴。
経済的余裕がある女性は、金で時間を変えるならばと、
争いをせず示談に応じた。
80歳を超え、長期入院生活を余儀なくされ、
これ以上、裁判で精神的苦痛を負いたくないと考えたそうだ。

まさに、泣きっ面に蜂である。重ね重ねお気の毒である。

自転車だからと、事故は侮れない。
普通に運転していても、予期せぬ事故に巻き込まれる。

それを、運転者が、ながらスマホや飲酒運転をしたらどうなるか…
容易に結果の予測がつくだろう。

罰則強化により、不幸な事故を抑止する効果に期待する。

秀吉の書状がネットオークションに… “失われゆく古文書”

秀吉の書状がネットオークションに… “失われゆく古文書”(NHK)

古文書は専門家でなければ読むことができない。
何が書いてあるのか皆目見当がつかない。
どんなに価値があるものでも、その価値が分からなければ、
タダのごみである。

先人が残した書状は、歴史を知るうえで重要な役割がある。
歴史は、勝者の歴史であることから、
真実は闇である。
そうした闇の部分が、残された古文書から明らかになることも少なくない。

また、防災の観点からも、過去の大地震や噴火がどうであったか、
規模はどうか、どのような避難や復興がされたか、
手掛かりになるものが数多く、現在の防災の一助となる。

そうした歴史的に価値があるものの保存を、
当時の庄屋等、地域の実力者の努力に委ねては、
社会的損失となる部分が大きい。

残念ながら、かくいう私も古文書を読むことはできない。

今、私も、コレクションの図書の所蔵をどうしようか迷っている。
若い頃から買い求めた貴重な資料は、
気が付けば万の単位を数え、その置き場に苦慮するものである。

他人にあっては、なかなかその良さを理解してもらえないが、
私にとっては、今は手に入れることができない貴重な書籍の数々だ。
これらを活用して、後輩が業界を盛り立ててくれればよいと願う。

古文書と同様な目に合わぬよう、
後継者の育成に力を入れなければならない。
これは喫緊間課題である。

職員が市役所から飛び降り死、1審で5785万円賠償命じられた市の控訴案を議会が否決

職員が市役所から飛び降り死、1審で5785万円賠償命じられた市の控訴案を議会が否決(読売新聞)

裁判は、証拠があってナンボの世界である。
その証拠を示すことが出来なければ、結果は非を見るより明らかである。
「市の控訴案を議会が否決「」という図式も珍しい。
市側と議会の足並みが揃っていない。

安全配慮の観点から
使用者には安全配慮義務がある。
よって、漫然としてはいられないのである。

亡くなった方はお気の毒である。
裁判に勝ったからと言っても、命は返らない。
だから、使用者の責任は重い。

また、損害賠償の原資は、市民の血税である。
市民に対しても責任を負わなければならない。

兵庫県でも、今年、職員が自死している。
人が集まるところ、考え方の違いからトラブルはつきものだが、
最悪の事態だけは回避しなければならない。

千葉のホテルで女性従業員死亡 手首縛られ首を刃物で…強盗殺人 防カメに“目隠し”も 連続強盗との関連は

千葉のホテルで女性従業員死亡 手首縛られ首を刃物で…強盗殺人 防カメに“目隠し”も 連続強盗との関連は(日テレNEWS NNN)

近時、ブラックバイトの実行犯による強盗事件が頻発する。
関連して、殺人も起きている。
この事件も、黒幕は同じなのだろうか。
それにしても、深夜のホテルに、
従業員が女性が一人だけ…ということは労務管理上よろしくない。
ホテルには不特定多数の人が出入りするのだから、
誰が訪れるかわからない。
防犯の体制は強固でなければならない。

市原というのどかな地域だから犯罪とは無縁であり、
かつ、これまで犯罪は皆無だったので
対応をしてこなかった…では、会社は免責されないだろう。

いずれにしても、使用者の落ち度も指摘されることだろう。

その昔の最高裁判例に、川義事件(最高裁昭和59年4月10日)がある。
これは、宿直勤務中の従業員が強盗に殺害された事件で、
遺族が会社に安全配慮義務の違背に基づく
損害賠償責任求めて訴えを起こしたものである。

社内には高価な反物や毛皮等の商品が保管されていたが、
会社には呼出し用のブザーのみが設置され、
のぞき窓、インターホン、防犯チェーン、防犯ベル等の
設備はなかったとのこと。

判決は、「会社が安全配慮義務を的確に履行していれば、
従業員の殺害を未然に防止できたと考えられる。
会社が安全配慮義務を怠ったために発生した事件であるから、
会社は遺族に対して、その損害を賠償する義務がある」とした。

本件も、労災認定は勿論のこと、
民事における
会社の安全配慮義務違反も問える可能性が高い。

とはいっても、亡くなられた方の命は戻らない。
憎むべきは、強盗殺人犯であることに違いないが、
会社も、従業員の安全配慮をする義務を怠ってはならない。