建物等に関連する、意味を調べてみた。
「寺」… てら。仏道修行や仏事を行うところ。「寺社」「仏寺」
[参考]もと、役所を指した語。
「坊」…
1てら。僧侶(ソウリョ)の住まい。また、僧。「坊主」「僧坊」
2まち。市街。「坊間」「坊門」
3へや。いえ。はなれ。
4男子を親しんで呼ぶ語。「坊や」
5他人に親しみやあざけりを表す語。「寝坊」
「院」…
1かき。かきね。かこい。土べい。 [類]垣(かき)
2かきねをめぐらした庭や建物。宮殿・役所・寺・学校など。「院長」「院落」「寺院」
3上皇や法皇などの敬称。また、その御所。「院参」「院政」「院宣」。
「堂」…
1たかどの。大きな建物。「堂宇」「殿堂」「講堂」
2神仏をまつった建物。「堂塔」「金堂」「経堂」
3いえ。すまい。「草堂」
4ざしき。広間。
5いかめしくりっぱ。さかん。「堂堂」
6他人の母の敬称。「母堂」
7屋号や雅号などにつける語。
「庵」…
1いおり。草ぶきの小屋。茶室などの小さな家。「庵室」「草庵」
2文人・茶人の住居、料亭などの名に添えて、雅号・屋号とする。「芭蕉(ばしょう)庵」
「軒」…
1のき。ひさし。「軒灯」
2家を数える語。また、雅号や屋号に添える語。
3くるま。轅(ながえ)の高くそりあがった車。また、車の総称。「軒駕(ケンガ)」
4てすり。「軒檻(ケンカン)」
5あがる。とぶ。たかい。高くあがる。「軒軒」「軒昂(ケンコウ)」
「亭」…
1宿屋。料理屋。茶屋。「亭主」「料亭」。眺望や休憩のために高台や庭園に設けた小さな建物。
2あずまや。
3屋号や雅号に添える語。「曲亭」
「寮」…
1共同宿舎。寄宿舎。「寮舎」「寮母」「学生寮」
2しもやしき。別荘。また、数奇屋。あずまや。「茶寮」
3つかさ。役人。「寮佐」
4律令(リツリョウ)制で省の下に属した役所。
「処」…
1とりはからう。とりさばく。「処置」「処分」
2ところ。場所。「居処」「随処」 [類]所
3おる。いる。
さて、みなさんも、日常生活で、
これらの屋号や雅号を目にしていることが多いと思う。
漠然と使っていた言葉の差異が見えてきた。
飲食店や、旅館などが用いるならば合点はいくが、
先人は、高貴な身分の人や、文人が好んで建物に名をつけていた。
歴史小説や、伝記の類に、これらが散見される。
最近、特に気に入っている書籍で、見延典子氏の「頼山陽」がある。
明治時代から、第二次世界大戦前まで、
歴史書の大ベストセラー「日本外史」を上梓した頼山陽は、
移り住んだ京都で、東山や鴨川の眺望が気に入ったらしく、
屋敷を「山紫水明処」とした。
今、NHKの朝ドラで主人公のモデルである、
故三淵嘉子氏の、義父、初代最高裁判所長官故三淵忠彦が
小田原に建てたのが、「柑橘荘」。
茶室を備えた屋敷の南に広い芝庭
まわりに花木や紅葉、東には蜜柑、
夏蜜柑、檸檬、金柑や梅が植えられ
往時の数寄者らの趣味を今に伝えているそうだ。
昔の人は、忙しさの中に高尚な余裕と、洒脱な言葉遊びがあった。
「はて」、私は終の棲家を何処にしようか、なんと名付けようか。
「一所懸命亭」、「留魂院」、「コツコツ堂」
悪くはないが、「山紫水明処」に比べると、各段美しさに欠ける。
もうひとひねり、もうふたひねりが必要だ。
