93歳の受刑者が逝った。
5年前、キャリア官僚だった人間が、
88歳のドライバーという立場で起こした交通事故が
多くの人の運命を変えた。
あの日あの時、もし、運転していなかったら。
あの日他の時、もし、現場に居合わせなかったら。
人の運命とは、実にわからないものである。
高齢ドライバーだからいけないということではない。
長年ドライバーをしてきた慢心と、注意力の欠如がいけない。
キャリア官僚の功績も、最期、刑務所での老衰は悲しい。
ハンドルを握る者は、
いつ、何時、自身が加害者になるやもしれない危険を正しく畏れつつ、
車を利用しなければならない。
被害者、加害者双方にとって、
払拭のできないジレンマを覚える。
後悔先に立たず。
社会への教訓として、
いつまでも語り継がなければならない事故である。