カスハラで氏名公表も 三重県桑名市、全国初の防止条例案(時事通信)
本当にこの対応は評価できるのだろうか。
典型的なカスタマーハラスメントに対する適用に、異存はない。
客の恣意的なわがままを野放しにすることは、
職場の安全配慮義務によろしくない。
しかし、一歩突き詰めて考えてみると、
カスハラか否かは、誰がどのように判断するのだろうか。
カスハラが問われる、長時間の詰問があつたとしても、
サービスの提供側に手違いがあり、
横柄な態度をとったことによるクレーム、
理不尽な差別によるクレームなどとカスハラの判断はどうするのだろうか。
これまでも、窓口においてクレーム係というものが存在した。
行政サービスにおいても、
平等対等な契約においても、信義則に反する対応が認められた場合、
また、権利を侵害された相手が、主張することは当然である。
そうした正当な権利の行使と、
カスハラの氏名公表の線引きを、
誰が、どのような基準のもとに、何処でするのだろうか。
条例は単なる抑止力か、それ他も第三者員会のような組織において、
双方の意見を聞いたうえでの判断との明文を盛り込むのか。
後者の場合、即効性に欠ける。
安易に氏名公表することは、名誉毀損になる。
新たな火種を生む。
カスハラ対策に実効性を持たせようとする趣旨は評価できる。
しかし、運用と技術の問題だ。
ここにも、「保護事由」と「帰責事由」の観点が試される。
制度として定着するためには、
紆余曲折あることだろう。