無資格で社会保険労務士業務疑い、税理士と行政書士を逮捕…大阪府警(読売新聞)
社労士法違反で逮捕されるとは、珍しい事案だ。
何年にもわたり、反復継続して行ったこと、
また、累計の報酬金額が大きかったこともあるだろう。
社労士でない者が、社労士の独占業務をして報酬を得る。
内部通報で発覚したのか、
それとも、新たに社労士に依頼した先で、従前の申告から発覚したのか。
約、340件の業務を400万円の報酬で行ったということは、
平均すれば1件1.2万円程度ということになる。
利用者にとっては、リーズナブルな金額と言っても過言ではない。
他方、内容の誤りを指摘されているわけではないので、
無資格でも、それなりに書類が作成できていたのだろう。
そうすると、法の建前は別として、
ここに専門性があると胸を張って言えるのかの疑問が残る。
社労士の沿革を見ると、
1968年 – 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)制定
1980年 – 行政書士法改正により、
行政書士と社会保険労務士との業務を完全に分離
(それまでは、行政書士も社労士の独占業務ができていた)
ところが、昭和61年、1980年(昭和55年)に完全分離したはずの
行政書士に、「無条件で社労士資格を与える」とする
社労士法の改正が取りざたされた。
私はこの時、身銭を切って、同改正法の成立を阻止した。
(当然のことながら、所属していた行政書士会から、不評を買った。)
再び社労士資格が付与されればどうなるか?
税理士は、行政書士として登録すれば、行政書士の仕事ができる。
よって、行政書士に社労士資格が付与されれば、
税理士が行政書士も社労士も仕事ができる…
ということになりかねなかったのである。
この時、誰も何も言わず、
すんなりと改正法が成立していれば、
今回の逮捕劇もなかったわけだ。
つらつらと、昔のことを思い出したものだが、
社労士の独占業務とされる1号2号業務は、
早晩、AIが社労士の代わりをし、
自社の従業員が行う事務所掌になることだろう。
確定申告のように、画面の求めに応じて、必要事項を入力していけば、
簡単に書類が作成され、e-Govで提出完了になるはずだ。
今はまだ、その過渡期だが、過渡期のうちに独占業務以外で、
「社労士の制度は労使双方の権利を守り、福利厚生を支えるもの。」
を具現化していかなければならない。
AIは、逮捕できない。
