田中森一氏死去(2)

田中森一氏の著書は、「反転」「塀のなかで悟った論語」「遺言」と、何冊か読んでいる。
長崎の貧しい漁師の息子として生まれ、努力の上に努力を重ね大学に進学し、在学中に司法試験合格。検事となった。
辣腕検事として名をとどろかせたが、思うところあり、弁護士に転身。山口組若頭・宅見勝やイトマン元常務・伊藤寿永光ら「バブルの紳士」と親交し、「闇社会の守護神」との異名をとった。
その後、巨額詐欺事件で逮捕され、服役中にがんが発症した。そして、本日の訃報である。
氏の人生は、実に波乱に満ちたものだった。
検事に上り詰めるところまでは、サクセスストーリーだが、弁護士に転身してから晩年までの人生は、絵に描いたような凋落の一途をたどる。
彼の著書には、絶頂期、謙虚さを忘れる人間の弱さ、己の能力を過信しすぎる傲慢さ、一個人では抗うことができない国家権力(検察力)が描かれている。
そして、かつての「権力の権化」が、古巣から同じ権力で、煮え湯を飲まされる様も赤裸々に語られていた。時代の寵児が、人生を踏み外してしまった悲哀さ、これが手に取るようにわかる。
バブルという狂乱な時代に、正常な感覚を狂わされ、真っ当な判断力を欠いた男の末路でもある。
その反省の上に書かれた「塀のなかで悟った論語」だが、私たちは、本書のわかり易い用例の中に、日本人が心に止めておかなければならない指針たる「論語」の指南を受けた。
先週83歳で亡くなった高倉健さんとの、訃報の扱いを比べると、田中氏の晩年は寂しすぎる。
人生の明暗はどこで決まるのか…本訃報を機に考えさせられた。

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