「家政婦」に労働基準法を適用へ 労働者として保護 厚労省が調整(朝日新聞デジタル)
家事使用人の労働基準法適用除外の根拠は、同法116条2項にある。
「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。」
「家庭内の問題を国家が監督・規制するのは不適当」
という考えに基づき、
1947年の労基法施行当初から適用を除外してきた。
当時は雇い主の家で、
住み込みで働く「女中」が念頭にあり、
家族の一員とみなされていたことが背景にあるという。
しかし、今は、家政婦紹介あっせん事業等の会社を通じ、
泊りを伴わずに派遣されるケースがほとんどだという。
約75年以上の時を経て、
社会の実態に法律が追いつくことになる。
現在係属中の裁判として、
7日間にわたる泊まり込み勤務の末に、
急死した介護福祉士で家事労働者の女性(68歳)に、
労災が支給されず、遺族が国を訴えた控訴審判決が
今年6月27日に結審した事案がある。
この裁判は、9月19日に判決が言い渡される予定だ。
事案の概要は、
訪問介護事業及び家政婦紹介あっせん事業等を営む株式会社に
家政婦兼訪問介護ヘルパーとして
登録されていたC(以下「亡C」という。)が
平成27年5月28日に死亡した。
このことにつき、亡Cの夫である原告が、亡Cは、
7日間にわたり要介護者宅に住み込み、
訪問介護ヘルパーとして訪問介護サービス業務に従事したほか、
家政婦として家事及び介護業務に従事するなど
24時間対応を要する過重な業務に就いたことに起因して
勤務終了日後ほどなく急性心筋梗塞又は心停止を発症し、
死亡したとして、渋谷労働基準監督署長に対し、
労働者災害補償保険法に基づく
遺族補償給付及び葬祭料を請求した。
だが、同労働基準監督署長が亡Cについては
労働基準法116条2項所定の「家事使用人」に該当するので
労働基準法及び労働者災害補償保険法は適用されない
という理由で上記の保険給付を
いずれも不支給とする処分をしたことから、
被告(国)に対し、上記の各処分には違法があると主張して、
その取消しを求めた事案。
一審東京地裁は、
亡Cの本件会社における本件介護業務に関しては、
客観的にみて、また、医学経験則に照らし、
当該業務に内在し又は通常随伴する危険の現実化として
亡Cが本件疾病を発病したという相当因果関係を
肯定することは困難といわざるを得ず、
認定基準に依拠して検討しても、その認定要件を満たすとはいえない。
(中略)したがって,本件疾病は、
別表8号所定の
「長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務」
により発症したものとは認め難く、
「業務上の疾病」(労基法施行規則35条及び労災保険法7条1項)に
該当せず,
遺族補償給付及び葬祭料の支給要件を満たさないから,
本件各処分はこれを理由とする限度で適法である。
…として棄却した。
今回は、その控訴審であり、
2023年1月から開始された。
一般に、控訴審では「1回結審」と言われ、
一審の事実認定をもとに、
第1回期日で当事者の言い分を聞き、
弁論を終結することも多い中、
本裁判では実に1年半にわたり
審理が重ねられたことになる。
裁判のあった6月27日、
ついに厚労省が法改正に向けた調整に入ったと報じられた。
この風を受けて、風見鶏は、どちらの方向を向くのか。
