「安全管理いつも厳重なのに…」3人死亡の福島 温泉街に走った衝撃(朝日新聞社)
温泉は、大地の恵みだ。
全国各地にある温泉宿に宿泊することに、
誰もが高揚感を持ち、心身ともに癒される。
泉質の良い大きな露天風呂につかり、
ご当地の名産品に、地酒に舌鼓を打つ。
至れり尽くせり。
何もしない静かな時間がゆったりと流れ、
日頃の喧騒のなかでは見落としがちな、
自分との対話を心ゆくまで楽しむ。
非日常の体験は至福のときであり、
明日への活力につながる。
そうした客の満足度を陰で支える、
旅館やホテルの従業員のご苦労は、なかなか目に見えない。
温泉は、客室露天風呂付きの「源泉かけ流しがいい」
などと、金に糸目をつけなければ、贅沢を言うものだが、
温泉は自然の恵みであることから、
人間がコントロールすることの難しさを、
今回の事故で改めて認識する。
源泉かけ流しの硫黄泉では、源泉管理は必要不可欠だ。
その管理のために、出向いた人が、
硫化水素で命を落とすことがあるなどと、
浅学である湯治客は予想だにしない。
硫化水素は、大気より重たい気体のため、
風のない状態が続いた窪地などで硫化水素が充満すると、
事故につながるという。
つまり、冬、積雪により、窪地ができると、
無風状態であるため、思わぬところで事故が起こるということらしい。
よって、夏より冬の事故が多いという。
「雪景色の露天風呂」、ロケーションとしては最高だが、
従業員のみならず、宿泊客もその点を十分認識して
湯治に出かけなければならない。
くわえて始末に負えないのは、この硫化水素、目に見えない。
濃度が低ければ、例の「腐卵臭」で気付くことも多いが、
高濃度になると無臭になるという特性を持つという。
そうすると、通信機器を持参して、三人一組で行動したところで、
今回の事故のように運が悪いと、全員が動けなくなってしまうのだ。
つくづく、硫化水素の恐ろしさを知る。
安全・安心と、危険は表裏一体。
業務遂行中にお亡くなりになった方々に
合掌。
