Posted on 2025年3月2日
by 河野順一
【やり取り全文・前編】トランプ氏 ゼレンスキー氏 なぜ口論に(NHK)
トランプ大統領、怒りで顔赤く 雰囲気一変、緊迫の会談(共同通信)
「米国の恥」、野党民主党が批判 共和党にゼレンスキー氏の自滅論(共同通信)
不満、あきらめ 米との会談、ウクライナ市民はどう受け止めた?(毎日新聞)
物別れに終わった、衝撃の米ウ大統領の会談は、世界に波紋を広げた。
公開の場で、しかも大統領執務室での会談に、
痛恨の不協和音を見せたのは、あきらかにアメリカの失策だ。
アメリカから援助が受けられないかもしれない状態に陥ったのは、ウクライナの失策だ。
全世界に流れた映像を巻き戻すことはできない。
覆水盆に返らずだ。
やり取り全文は、是非読むことをお勧めする。
どこでボタンが掛け違っているかが見えてくる。
トランプ大統領の自己顕示欲が強いのは周知の事実だが、
選挙戦の延長で、前大統領の悪口は聞くに堪えない。
それでも、前半戦はずいぶん抑えている感がある。
問題は、副大統領の発言から始まった。
バンス副大統領
「あなたの国の破壊を終わらせるような外交の話をしている。
(ゼレンスキー)大統領、おことばだが、大統領執務室に来て、
アメリカメディアの前でそれを訴えるのは失礼だと思う。
現在あなたたちは兵力の問題を抱えているせいで、
次々と前線への徴兵を強いている。
(トランプ)大統領がこの紛争を終わらせようとしていることに
礼のひと言でもあってしかるべきだ」
トランプ大統領の腹心の部下が、トップの威厳を引き出すために発した言葉は、
ゼレンスキー大統領の堪忍袋の緒を切ったが、彼は終始冷静だった。
挑発することもなく、淡々と自身の言葉で、主張すべきを述べている。
それは、自国の安全保障だ。
これをきっかけに、顔を赤くして怒ったトランプ大統領に比べ、
大人の品格を備えた対応として、見る者の目に映る。
しかし、アメリカ側が言うように、
ウクライナは手持ちのカードが少なすぎる。
とはいうものの、そもそもそうなった端緒である、
「ブダペスト覚書」には、アメリカも、ロシアも当事国として関与しているではないか。
これは、1994年12月5日にハンガリーの首都
ブダペストで開催されたOSCE(欧州安全保障協力機構)会議において、
アメリカ・イギリス・ロシアの核保有3ヶ国が署名した覚書である。
内容としては、
ウクライナ・ベラルーシ・カザフスタンが核不拡散条約に加盟したことに関連して、
協定署名国(つまりアメリカ・イギリス・ロシア)がこの3ヶ国の安全を保障する、
という内容のものだったはずだ。
協定署名国は、この覚書を誠実に履行しているのか?
ウクライナの安全は、保障はされたか?
そうでないから現状がある。
非はどこにあるのか、一目瞭然だ。
会見の冒頭、ゼレンスキー大統領は、トランプ大統領に謝意を述べていないか。
ゼレンスキー大統領の冒頭の発言を、確認してみよう。
「大統領、ありがとう。招待していただき、ありがとう。この文書がウクライナの真の安全保障への第1歩となることを心から願い期待している。われわれの国民や子どもたちのために。
アメリカが支援を止めないことにも期待している。われわれにとって支援の継続は非常に重要だ。インフラや安全保障など詳細についても話し合いたい。」
これが、礼ではないのだろうか?
これで足りないというならば、小国は大国にひれ伏せということなのか。
見ている者からすると、実に不快な、ナンバー2がする大上段からの構えが不愉快だ。
トランプ大統領は、副大統領の発言を援護すると同時に、
今まで抑えてきたものを、ここから爆発させたように思う。
多勢に無勢。
それでもゼレンスキー大統領は、冷静沈着に自国の安全保証を訴え続けた。
国際社会は、この会談をどう見たか。
手放しで喜んだのは、ロシアのプーチン大統領だけではないか。
当事国でありながら、この会談において何の痛手も負わず、
大国アメリカとの良好な関係を世界にアピールできた成果は大きい。
日本がアメリカの忠実な「ポチ」であるのと同様、
アメリカは、ロシアの忠実な「チャーリー」か、
それとも「マックス」か。
(ちなみにこの名は、アメリカのオス犬で、人気の名前だそうだ。)
ぶれない軸を持つ大統領の、一日も早く、そのスーツ姿を見たい。
これが世界の願いである。